生きていると、呼吸も歩くことさえも苦しくなるときがある。生活をきちんと整えようとすればするほど、息苦しくなって、想像力まで抑え込まれてしまう。
でも、加藤くんの作品が教えてくれた。想像力は出口になることがあるって。どこへでも連れて行ってくれて、心を一時的に重さから解放してくれる。人から見たら些細で汚れたものさえ、物語の中では救いになることがある。
見終わったあとは、まるで心が洗い流されたみたいだった。全部がきれいに整ったからじゃなくて、空白や無秩序を受け入れられるようになったから。本当に呼吸できるのは、混沌を抱えながらも光を放つ日常なんだって。
ショートフィルム『渋谷と1と0と』/加藤シゲアキ原作・脚本・監督・主演