O.R
4 years ago @Edit 4 years ago
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4 years ago
「たぶん、それだけじゃ足りないと思ったの……」揺らぐ瞳は少し不安そうで、彼女は呟いた。
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4 years ago
昔は、祈りはたくさんしたの。
毎日祈って、皆の無事を願って神様に。
でも叶ってはくれなかった。皆が帰ることはなかった。
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4 years ago
「待つことしか、私に出来ることは何もなかった。それが一番…辛かったからかな……」俯いた顔を上げて、切なくも微笑んで見せた笑顔は、やはりとても綺麗だと思った。
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4 years ago
「白魔導士になる子は村で一番多いでしょう?オリファのように。でもね、何か違うと思ったの……私が欲しいものとは違った気がして、なら何を求めるのかと言われると、答えが出なくて……」
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4 years ago
そして運命が示した先は黒衣森のない道、遠い雪国から伝来した、星々の導き。
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4 years ago
「最初は勿論不安だったよ、だって占い師みたいなってくらいしか知識はなかったもの。イシュガルドだって初めてだったし……あ、いま笑った?これでもあなたより人見知りなんだから仕方ないじゃない……!」
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4 years ago
あの時の緊張がよみがえったように肩を固めた姿は、子供の頃夜道ではしゃぎ、迷子になった時と全く変わらなかったから、おかしくてつい笑ってしまった。
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4 years ago
「迷子…それもう昔の話でしょう!今はオリファの方が酷かったじゃん!この前だって屋敷で道を間違ったりして――」
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4 years ago
軽く揶揄うつもりだったが、どうやら火をつけてしまったようだ。慌てて謝ると、彼女は何故かばつが悪そうな顔を浮かべた。
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4 years ago
「別に怒ってはないよ、そんなに謝ることじゃないし……何か自分が恥ずかしい、子ともじゃないのに」溜息一つでは気が済まないようで、細い腕を高く上げ、背伸びして気分転換になる。それも昔から癖だ。
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4 years ago
討伐隊の集会で琳を見たときは驚いた。
最後に会ったのはいつかすら思い出せないほど、僕たちはそれぞれの道を歩んで、こうして再会を果たした。
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4 years ago
子供の頃は僕より少し背が高かった彼女は、今じゃすっかり小さくなった――とうっかりこぼしたら、「それはオリファが大きくなり過ぎたんだよ!」と少し怒られた。
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4 years ago
気持ちが先走ると話していることも滅茶苦茶なところも健在のようだ。
二人で昔話に花を咲かせ、近況報告をした。
先に故郷を発った時に見た、迷いと不安で曇った彼女の笑顔は、いまも少し翳りを帯びている。
それでも前に進もうと決めたなら、きっと大丈夫だ。
O.R
4 years ago
「やはり、琳はカッコいいね」
「これくらい来れば、いつかオリファも道を覚えるよ!」
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4 years ago
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4 years ago
幼馴染のミコッテ達のお話でした:D
O.R
4 years ago
彼女の名前は同じ「琳雨」ですが、発音は少し難しくて、オリファは小さい頃から便宜上、琳と呼んでいる。
O.R
4 years ago
二人とも黒衣森の出身で、オリファは白魔導士、琳は占星術師になりました。
O.R
4 years ago
お互い故郷を出た以来会っていないが、共通の知人や里帰りの際にぼちぼち近況を知る感じです。
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